建物の耐久性向上に、小屋裏の換気は重要です。小屋裏の換気をする際に、排気口がとりにくい場合があります。切妻屋根であれば、妻換気口を設置すると問題ありません。寄棟屋根や方形(ほうぎょう)屋根(棟のない寄棟)の場合には、軒裏天井から排気することになります。暖かい空気は上昇するため、換気効率は悪いです。適当な方法がないから、やむを得ず、軒裏換気を計算に入れるだけです。換気トップは、屋根の最高部から排気するわけですから、効率が良いです。
当然、雨仕舞いのできた部材、ならびに施工である必要があります。“換気と雨漏りは、相反する要求”です。換気するための穴があいている以上は、条件によっては、必ず雨水が浸入することになります。その条件とは、雨量と風の強さ・向きです。想定外の風速であれば、雨水は入ります。絶対に雨水が浸入しないという換気部材はありません。
雨水の浸入を防止するために、換気口の大半を塞ぐことがありますが、これは不可です。
通常の換気を優先順位として、めったに発生しない強風時には、浸入した若干の雨水を拭き取ることが正解と考えます。入居者による雨水の管理です。一切の雨水浸入を許容しないという態度は、住宅では馴染みません。
換気トップについてですが、設置されていない建物も多いです。屋根形状によりますが、新しい建物では、設置されることも増えてきました。建売住宅などコスト削減が厳しい場合には、無視されることになります。性能よりもコスト重視です。暖かい空気は上昇するという自然現象を利用した換気トップは、小屋裏空空間の換気により、耐久性が大幅にアップします。コスト以上の効果をもたらしてくれます。自然エネルギーの活用ですから、電気代もかからず、“パッシブシステム”ともいいます。
屋根面の最高部に、後から付加する部材ですから、劣化の進行は早く、高いところは風も強く、台風時などは最悪で、飛ばされる可能性もあり、点検が必要です。設置条件としては最悪の場所となります。実際に飛ばされることがないように固定しますから、問題はほとんどありませんが、屋根の点検時には、必ず注意すべきポイントです。
住宅の小屋裏換気として最高部から換気する、換気トップです。自然換気では、性能が
最高になります。電気代も不要で、自然エネルギーに利用です。注意点は雨水が入らな
いことです。多くの改善改良が加えられてきました。
写真 換気トップ
換気トップは全棟部に採用することもありますが、部分的でも可能です。残りは通常の
棟板金にします。最も環境の厳しい部位ですから、定期的点検およびメンテナンスは必
要となります。
写真 換気トップと棟板金
換気トップの形状は各メーカーにより、種々ありますが、例としてあげます。複雑な形
状になっていますが、雨水浸入防止対策です。雨が入ることなく、換気するように設定
されています。数年に一度の特別の強風時には点検します。
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