●● −お客様が自分勝手に思う二度と行きたくないお店− ●●    

始めに

 現在の日本人は昔と比較して、様々な点で贅沢になってきました。昔と比較すると贅沢になってくるのは当然のことです。そうならなければなりません。昔の方が良かったでは悲しいです。

 評論家の田坂広志さんからインターネット配信されている「風の便り」に記載されていましたが、現在の日本という国は、

 @世界第1位の健康長寿国
 A世界第2位のGDP産出国
 B世界有数の科学技術立国
 C世界有数の高等教育を国民に施している国
 D過去50年以上戦争をしたことがない国。

   これだけ揃った豊かな国はかって地球上の歴史上の中において存在したことが無い国といわれております。

  インターネット上にGlobal Rich Listというものがあります。自分の年収をドルで入力すると、実際に地球上の人口約63億人の中で、何番目の金持ちか教えてくれます。仮に47,500ドルの年収のある人はトップ1%の金持ちです。物価は考慮されておりません。そして真ん中の、32億番目の人の年収は10万円です。月収ではなく年収です。これが世界の実情です。

 これ以上の年収のある日本人は沢山いるでしょう。私もギリギリですがこの中に入っています。そう私は金持ちなのです。正確には稼ぎが良いのです。
これだけ豊かな国に住んでいる私たちは、豊かさの実感がないかもしれませんが、実際に私には豊かさの実感はないのですが、世界的規模でみれば豊かであることは確かなのでしょう。しかし、奥様からは「稼ぎの悪い、あんたと結婚して、私の人生サイテーーー」とよく言われます。奥様もまた豊かさを実感できないでいます。

 豊かさと共に要求するレベルも高くなっていくのは当然です。人は心を癒してくれる感動を求めています。私たち人間に感動を与えてくれるのはやはり生身の人間です。そのために多くの人は無意識のうちに感動を求めてお店に行きます。お店という接客現場と感動は深い関係にあります。逆に接客現場で不満があると強いマイナスの印象を残します。しかしほんの時々ですが「当たり」がでます。自分がまた行きたいと思うお店に遭遇することがあります。行きたくないと思う店の確率の方が圧倒的に高いのですが、この「当たり」の感動があるから、またお店を探して行くのでしょう。

 私が入ったお店で、気になったこと、不愉快に思ったこと、もう二度と来ないと思ったことを思いつくままに書きます。店側に本当は別の理由なり言い訳があるのかもしれません。しかし、それはお客様側から店側に伝わらないように、逆に店側からもお客様側に伝わらないことです。伝わらないということは、存在しないことと同じです。伝わらない=存在しない

  そして現実に判断するのはモノを言わないお客様です。お客様の勝手な判断だけで、そのお店の評価が決まってしまうのです。そしてクチコミで拡がっていきます。

  お店の接客レベルも昔とは違います。日々上ってきているのも事実です。周りのお店のレベルが上っているのですから、自分のお店だけが取り残されるわけにはいきません。タイトルの「けったくそが悪い」とは大阪弁でよく使う言葉ですが、いまいましい、しゃくにさわる、気分を害された、といった感情を表しています。
お客様(私のことです)が自分勝手に思う「CSのなっとらん店」という観点から、始まり始まり。

1.「梅田のホテル」 

 名門ホテルが西梅田にあります。決して広い面積ではありませんが、このホテルはサービスについては自信を持っており、実際に極めて評判の良いホテルです。

 先日、2人でランチを食べに行ったときのことです。ランチといってもそれなりの値段のする高級店です。噂通りのサービスで、食事そのものの味・店内のインテリアデザインのセンス・おもてなしの心等全て満足のいくものでした。一緒に行った者も喜んでおりました。お金を払うのは私ですから喜んでもらわないと困りますよね。

 しかし、たった1つだけですが気に入らないことがありました。後は全て満点でした。気に入らなかった点だけをお話致します。気に入った点は省略致します。後で述べますが、お客様は気に入らなかった点だけを周りの人に喋ります。気に入った点は喋りません。良かった、美味しかったといくら言っても「あーそう、よかったね」とちっとも面白くありません。気に入らなかった点の方が圧倒的に受けるのです。笑ってもらえるのです。

  食前酒を飲み、食事が始まりましたが、水が何故かでてきませんでした。喉が渇きましたが、水を要求するのも気が引けてしばらくそのままでした。やがて1人のウェイターが、気がつきました。「水をお持ちしましょうか。」と言いました。「水くらい何も言わんと早う持ってこんかい」と思いましたが、「お願いします。」と私。間もなく持ってきたのはミネラルウォーター「エビアン」500cc、自動販売機で、150円で売っているやつです。

 イヤな予感がしました。
 しかし一緒に行った人がおり、その人の手前何も言いませんでした。せっかく気分良くしてもらっている時に気分を害する言葉は言えません。
 もし、同僚と行っていたなら、「この水何ぼするの。」「俺は無料(タダ)の水が欲しいな。」「ただの水が無いんなら手洗い行って汲んできてーな、俺はタダの水が飲みたいんや。」とでも周りの人に聞こえるように大き目の声で言いたかったのですが、そのような顰蹙をかう言葉は言いませんでした。思っただけです。言えませんからね。

 案の定、清算のとき、請求書にミネラルウォーターは900円、それにサービス料が13%、消費税が更に5%付いていました。水を貰うだけで計算すると合計1060円でした。丁度1人分コップ1杯の水が500円になりました。けったくそ悪いですねえ。ここまではお金の問題です。私は普通のランチ1食分損したなと感じました。

 ところが、しばらくして周りを良く見回すととんでもないことを目にしました。
  ウェイターが何とタダの水を周りの皆様に注いでいるのです。無くなればまた注いでいるのです。
私のところにはタダの水は1滴も注がれませんでした。1滴もです。
  こうなるとお金の問題を通りこしてしまいました。けったくその問題に進化したのです。何事によらず、けったくその問題になりますと大変です。強いマイナスの印象を残します。それも永久とはいいませんが、かなり長期間残ります。何十年間という単位でです。

  私も典型的な日本人ですから、文句があっても何も言いません。お金をきっちりと支払いました。でも次はありませんよ。これが日本人。

 以前何かの本で読んだ言葉ですが、フランス人なら文句を言って食事代とチップを支払います。アメリカ人なら文句を言って食事代だけを支払い、チップの支払いを拒否します。中国人なら文句を言って食事代とチップの支払いを拒否します。しかしいずれの国もリピーターにはなり得ます。
  しかし、日本人は文句は言いませんがリピーターにはなりません。
  それで終わりです。
  お客様は店に対しては何も言いませんから店側は気がつかないかもしれません。感受性というやつです。これが恐ろしい点です。
  文句を聞く方もつらいのですが、文句という情報があれば、まだ対処のやりようがあります。そのお客様は失っても。次につなげることができます。結果的には文句を聞く方が為になるでしょう。
  不満足客の4%だけが不満を口にするというデーターもあります。残りの96%のお客様からの情報は入りません。
100−1=99というのが数学上の正解です。100−1=0というのが実社会の正解です。100%の内の99%気に入ったのですから、どんな試験を受験しても99点では合格しますよね。たった1%気に入らなかっただけで、リピーターにならない、それで終わりになります。結果100−100=0と同じです。どちらの場合もリピーターはないことになります。ここに厳しい現実があります。
 
 お客様は気に入ったことは喋りません。気に入らなかったことだけを喋ります。気に入らなかったことを1年間に周りの40〜45人に喋り、それも最初の1月間に10〜15人に喋ると言われております。聞いた人は当然1%の枝葉末節だけとは思いません。ひょっとしたら100%と思っているかも知れません。枝葉末節が全体を制したのです。マスコミの暴力という言葉がありますが、クチコミの怖さも同じです。

  私はこのようにして、再び敷居を跨がなかったお店が沢山あります。けったくその世界は意地の世界ですからね。別にそのお店に行かなくても代替のお店は一杯あるのです。一生かけても行ききれない以上のお店があります。それも次から次へと淘汰されては新規開店されていきます。行かなくなったお店に、もし再び行く機会があれば、恐らく不満に思った点は解消されていることと思います。そうでないとお店もやっていけませんから。しかし、そういう問題ではなく行く気持ちがおきないのです。器量が狭いともいえます。その点は自分で認識しております。

  それにしてもこのホテルは、値段は高いですが、優秀でしたよ。それだけに、余計にけったくそが悪いのです。(BINGO)